日本病院会の相澤孝夫会長は19日の会見で、医師不足地域での勤務経験を国が認定し、管理者になる際に評価する制度(認定医師制度)に関して、医師偏在対策としての実効性に疑問を呈した。厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」が18日に了承した「第2次中間取りまとめ」を踏まえたもの。
相澤氏は、管理者になる医師の勤務経験評価を行う医療機関に関して、「厚労省は制度の第一歩として、地域医療支援病院から始めてはどうかと言うが、地域医療支援病院は施設によって病床数や機能がさまざまだ」と指摘。「認定された医師を雇用し、医師を派遣できる病院がいくつあるのか」とし、対象を地域医療支援病院に限定した場合、医師不足解消の効果は「薄い」と評価した。
ただ、認定医師制度に対する日病としての統一見解を出すのは「難しい」と説明。常任理事の間でも、「若い医師が管理者になりたがらなくなる」と憂慮する声がある一方で、「制度を活用して半強制的にでも医師を配置すべき」との意見も出ており、賛否が大きく分かれている状況だという。
厚労省は、認定医師制度を含む医師偏在対策を法制化する方針を示している。これに関して相澤氏は、「大学卒業後も各都道府県に留まる医師を増やす策を講じないと、医師不足は続いていく」としつつ、「あまり細かいことまで法で縛ることになると、人口や社会の変化についていけなくなる」と述べ、対策には柔軟性を持たせるべきとの考えを強調した。