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「明るい高齢社会」と労働者健康安全機構の役割[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.29

有賀 徹 (労働者健康安全機構理事長 )

登録日: 2018-01-02

最終更新日: 2017-12-20

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独立行政法人労働者健康安全機構(当機構)は、労災病院群34箇所と労働安全衛生総合研究所等3箇所との合体により平成28年4月に設立された。加えて、産業保健総合支援センター(各都道府県1箇所)と傘下の地域産業保健支援センター(全国約350箇所)も当機構の管轄である。

当機構は、勤労者医療の充実、勤労者の安全向上、産業保健の強化を図り、わが国の産業、経済にとっての礎を維持・発展させることを旨とする。つまり、国総体として総労働力を維持し、国民一人ひとりにとっては健康かつ安全に働くことを介して、一人ひとりの自己実現ないしキャリアパスを支援していくこととなる。

さて、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(平成26年)以来、各地で地域包括ケアシステムのあり方や、病床数を含めた医療供給体制そのものが俎上に載り、議論が大いに盛り上がっている。医療の提供は、急性期、慢性期、介護期へといった一方向ではなく、その逆もあり、これは循環型地域連携システムとも呼ばれる。そして、総務省「労働力調査(詳細報告)」による平成28年の統計をみると、雇用労働者総数5391万人のうち、非正規雇用は2023万人(38%)であり、その27%が60歳以上の高齢者である。しかし、この10年間の非正規雇用の増加は345万人で、実にその79%が60歳以上である。今や、救急車搬送の半分以上が65歳以上、毎年の増加分の8割以上が75歳以上であることと同様のことが職場においても生じている。

高齢化に伴って、疾病を持つ勤労者も増加している。医学の進歩により大病も克服されうるが、その折に離職していたなら、その後に続く人生は「病気が治ってよかった」では済まされまい。つまり、当機構が謳う「治療と就労の両立支援」には歴史的必然性がある。そして、職場の側から見れば、多くの勤労者の「未病」そのものも課題である。わが国が「明るい高齢社会」としての範を示すべく、行政や産業医ら関係各位と強力なスクラムを組みつつ、諸課題へ挑戦することこそ当機構の責務と考える。

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