【質問者】
白岩美咲 香川県立中央病院乳腺センター部長
日本人女性の乳癌罹患数・率,死亡数・率は増加傾向にあり,生涯リスクは11人に1人と言われています。乳癌は30~64歳のがんによる死亡原因の第1位です。国立がんセンターが公表している統計(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#mortality)では2013年の推定乳癌罹患数は20歳代で300人余り,30歳代で3500人余りとなっており,40歳代は1万5000人余りです。2016年の乳癌による死亡数は20歳代で18人,30歳代で288人であり,40歳代は1388人です。乳癌は30歳代後半にはやや増加するものの,20歳代,30歳代前半では非常に稀と言えます。したがって,遺伝子異常や家族歴等のリスクファクターのない女性に対して乳癌の検診を行う科学的根拠はありません。本人の希望で実施する場合には疑陽性(がんではないのに要精査となること),偽陰性(乳癌があるのに検出できないこと,特に高濃度乳房に対するマンモグラフィ検査)等の不利益に関して,十分に説明する必要があります。
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