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術後腸管症例に対する胆膵内視鏡治療の現状と今後【バルーン内視鏡,超音波内視鏡により多くの症例が施術の対象に】

No.4909 (2018年05月26日発行) P.54

中井陽介 (東京大学医学部附属病院消化器内科特任講師)

加藤博也 (岡山大学病院消化器内科)

登録日: 2018-05-23

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  • 術後腸管症例に合併した胆道・膵臓疾患の治療は,以前は外科治療や経皮的治療が行われていましたが,最近は小腸内視鏡や超音波内視鏡など低侵襲な治療選択肢が増えてきています。術後腸管症例に対する胆膵内視鏡治療の現状と今後について,岡山大学・加藤博也先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    中井陽介 東京大学医学部附属病院消化器内科特任講師


    【回答】

    術後腸管症例には,胃切除後にRoux-en-Y再建やBillrothⅡ法再建を行った症例,膵癌などで膵頭十二指腸切除を行った症例,胆管癌などで胆管切除+胆管空腸吻合を行った症例,さらには肝移植後に胆管空腸吻合を行った症例などがあります。これらの術後腸管を有する胆膵疾患症例では,既存の内視鏡による十二指腸乳頭,あるいは胆管空腸吻合部・膵管空腸吻合部への到達が難しいため,内視鏡的に治療することが困難でした。

    バルーン内視鏡(内視鏡にバルーンを装着したオーバーチューブを被せたもの。腸管を短縮しながら内視鏡を進めることができるため小腸の深部まで進むことができる。オーバーチューブに加えて内視鏡の先端にバルーンを装着するダブルバルーン内視鏡と,内視鏡の先端にはバルーンを装着しないシングルバルーン内視鏡がある)の登場1)により,これら術後腸管を有する胆膵疾患に対する内視鏡処置が可能となり,国内の多施設前向き共同研究では,ダブルバルーン内視鏡による胆膵内視鏡手技の成功率が90%を超えました2)。しかし,処置には高度な技術を要し,また,長いスコープを使用するため必要な処置具が通常の胆膵内視鏡処置と比較して十分そろっていないため,今後はそれらの開発が必要になります。

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