R-R間隔が整の頻脈を呈している。P波とQRS波の極性や幅は正常であり,洞性頻脈と考えられる。
本例は急激な体重減少も訴えており,手指振戦や頸部触診で甲状腺の腫大も認められた。血液検査で甲状腺機能亢進症と判明した(TSH<0.01μIU/mL, Free-T3 11.0pg/mL, Free-T4 3.1ng/dL)。
洞頻脈の診断に迷いはないかと思われるが,その原因検索が重要である。また頻脈は一過性のものか,常時持続しているものかの判別も24時間ホルター心電図等を用いて評価することが必要である。
本例は甲状腺機能亢進症に伴う,洞頻脈であった。初診時にX線,心エコー等も行い心機能が正常であることを確認の上,β遮断薬の投与を開始した。また各種自己抗体の値のチェックや悪性甲状腺疾患の鑑別を行い,バセドウ病であることが判明した。β遮断薬の投与に加え,抗甲状腺薬を開始すると自覚症状は軽快し,洞頻脈の所見も改善した。
(円城寺由久)