□静脈路確保を行い,血算,生化学,凝固系などの血液検査を行う。大量喀血の場合は血液型,クロスマッチを提出する。止血薬として,直ちにトラネキサム酸(1000mg,抗プラスミン薬)を緩徐に静注する。
□低酸素血症を伴う場合,酸素投与を行う。
□出血側を同定し,出血側を下にした体位をとる。出血側の同定には気管支鏡が有用である。
□呼吸不全が存在する場合,直ちに気道確保を行う。その際,極力太い口径のチューブを用いる。大量喀血の場合は,分離肺換気(健側肺への片肺挿管,またはダブルルーメンチューブの挿管)を行う。また,患側へ気管支ブロッカーの挿入を検討する。
□大量喀血によるショック状態の場合,赤血球製剤の輸血を開始する。抗凝固薬を内服している場合,もしくは凝固障害が存在する場合は,新鮮凍結血漿を投与する。
□気管支鏡:①Fogartyバルーンカテーテルを患側へ挿入し,24時間バルーンを拡張させる,②2万倍アドレナリンもしくはトロンビン液を出血している気管支に注入,③冷水洗浄,④レーザー焼灼,が行われる。
□気管支動脈塞栓術:気管支鏡を用いた止血術が無効であった場合,気管支動脈塞栓術の適応につきIVR(interventional radiology)医に相談する。前脊髄動脈の走行に留意する必要がある。
□外科手術:気管支鏡を用いた止血術が無効で,かつ血行動態が不安定な場合は,肺切除(部分切除もしくは葉切除)を呼吸器外科医に相談する。
□喀血の原因疾患を表1に示した。
□貧血,凝固機能の評価を行う。
□動脈血液ガスで,動脈血酸素分圧を確認する。
□胸部X線/胸部CT検査:喀血を起こす疾患の検索を行う。呼吸器疾患の存在の有無を確認するが,必ずしも呼吸器疾患によるとは限らない。患側に浸潤影が出現する。
□鼻・咽喉頭出血,消化管出血との鑑別が重要である。喀血と吐血の鑑別を表2に示した。
□何らかの処置を要する場合は入院とする。
▶ 石川秀雄, 他:呼吸. 2014;33(3):252-8.
▶ 藤島清太郎:救急レジデントマニュアル. 第5版. 相川直樹, 監. 医学書院, 2013, p153-4.
▶ Ingbar DH:UpToDate®.
[http://www.uptodate.com/contents/massive-hemoptysis-initial-management]
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