低体温の原因は様々であるが,環境要因によってもたらされたのか,二次的な要因でもたらされたのかにわけて考える。治療は,心電図や血圧の変化に注意しながら復温し,二次的な要因があれば原疾患の治療を並行して行う。
まず,低体温をきたした環境について聴取するとともに,曝露されていた時間についても聴取する。また,後述する低体温をきたす二次的な病態の有無についても併せて聴取する。意識障害をきたした症例では,これらの情報が聴取できないだけではなく,先に意識障害をきたし寒冷環境に長時間曝露された可能性も考慮し,意識障害の原因についても併せて聴取する。
低体温患者では脈拍が触知しにくいことがあり,患者に自発呼吸が認められるのであれば,通常60秒程度は注意深く評価する。しかしながら,呼吸が停止し脈拍が触れない場合は,直ちに心肺蘇生を開始しなければならない。また,低体温患者においては末梢血管が収縮するため酸素飽和度モニターが有効に機能しないことがあり,呼吸状態の評価には血液ガス分析を積極的に用いる。
緊急時の処置としては,患者の状態によって手段を選択する。通常,侵襲が少ない治療から実施するが,心肺停止に至るような重症低体温患者では,PCPS(経皮的心肺補助)導入も含めた積極的な復温を直ちに行う。
一手目 冷えた衣服を除去し,室内を暖かくし温めた毛布などを用いて加温。経口摂取可能であれば,温めた甘い飲料を与える
二手目 〈一手目に追加〉電気毛布,40~45℃に加温した輸液などを用いて積極的に加温
三手目 〈二手目に追加〉加温した生理食塩水を用いた胸腔・腹腔洗浄,体温コントロール用中心静脈カテーテルや,心肺停止患者の場合ではPCPSといった侵襲的装置を用いて積極的な復温を行う
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