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嗄声

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  • ■緊急時の処置

    気道の閉塞が最も緊急事態であり,直ちに気管挿管による気道の確保を行う。気管挿管が困難な場合,緊急輪状甲状間膜穿刺・切開もしくは緊急気管切開を行う。なお,輪状甲状間膜切開は,縦切開のほうが横切開より出血が少ないとも言われている。

    時間的余裕があり,保存的治療を実施するときにはアドレナリンの吸入を実施する。

    一手目:ボスミン®外用液0.1%(アドレナリン)1回0.5mL(10~15mLの生理食塩水に溶解して吸入)

    ステロイドの全身投与も行われることがある。投与量は諸説あるが,メチルプレドニゾロン,もしくはデキサメタゾン(デカドロン®)が一般的に投与されている。

    一手目:ソル・メドロール®静注用(メチルプレドニゾロン)1~15mg/kg 1日1回(静注),またはデカドロン®0.5mg錠(デキサメタゾン)1回1~2錠 1日1~4回

    溶連菌やインフルエンザ菌の感染が考えられるときには,併せて適切な抗菌薬の投与も行う。

    膿瘍形成によって気道が圧排されているときには,膿瘍穿刺や膿瘍切開が必要になることもある。

    ■検査および鑑別診断のポイント

    直視下もしくは間接喉頭鏡によって,あるいは喉頭ファイバーによって直接喉頭を確認するのが最も有効である。気道の開通の確認のために頸部側面軟部撮影を行い,声門上下での気道の狭窄部位や喉頭蓋の腫脹を確認することがある。また頸部造影CTによって咽喉頭の病変(咽頭後壁の膿瘍形成の有無等)を診断できることがある。

    感染の原因検索のため,咽頭培養や溶連菌抗原検査を行うことがある。

    主な鑑別疾患をに示した。

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    ■落とし穴・禁忌事項

    起坐位でかろうじて気道が開通している場合,仰臥位をとると気道が閉塞して苦しいため起き上がろうとする。無理に仰臥位を保持すると窒息をきたす。特にCT撮影時には注意が必要である。

    気管挿管を数回試み,喉頭から声帯を物理的に刺激すると腫脹が急速に進行することがある。径が細めの気管チューブであっても,1回で挿管を成功させるのが望ましい。

    小児(12歳以下)の患者では,輪状甲状間膜穿刺や切開はその後の狭窄をきたすため禁忌である。

    輪状甲状間膜穿刺や切開は,出血傾向のある患者や抗凝固療法中の場合には止血困難となる。絶対禁忌ではないが慎重に対応する。

    ■その後の対応

    緊急状態を回避できた後は耳鼻咽喉科と併診するのがよい。気管チューブか気管切開チューブによって気道が確保されたときには,直接観察とリークテスト(気管チューブや気管切開チューブのカフを抜き,肺からの空気がチューブの周囲を通って外部に空気が漏れ出るかどうかをみる)によって気道の腫脹の軽減を確認してから抜管もしくは抜去を行う。輪状甲状間膜穿刺によって一時的に気道が確保された後は気管切開に移行するほうが管理上安全である。

    ■文献・参考資料

    【参考】

    ▶ 福井次矢, 他, 監:ハリソン内科学. 第4版. メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2013.

    ▶ 山口 徹, 他, 監:今日の治療指針.医学書院, 2016.

    ▶ 森山 寛, 他, 編:今日の耳鼻咽喉科頭頸部外科治療指針. 第3版. 医学書院, 2008.

    【執筆者】 石松伸一(聖路加国際病院救急部部長)

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