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軟部組織損傷

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-26
今 明秀 (八戸市立市民病院救命救急センター所長)
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  • ■治療の考え方

    挫創や裂創は,しばしば隠れた骨傷を伴うことがある。特に,圧痛や変形があるときは画像検査を考慮する1)

    軟部組織損傷の治療方針の決定には,神経・血管損傷,筋腱・靱帯損傷,骨折,挫滅・汚染の程度と範囲を注意深く評価する。

    ■病歴聴取のポイント

    デグロービング(degloving)損傷:上肢が機械に巻き込まれ,手袋を脱ぐように皮膚と皮下組織が剥離される損傷である。

    コンパートメント症候群:筋膜や骨間膜に囲まれた筋区画内圧が何らかの原因で上昇し,血管,神経,筋肉への末梢循環が障害されて生じる。原因として骨折,血管損傷,キャスト包帯固定後,手術時の同一肢位,経皮的心肺補助法(percutaneous cardiopulmonary support:PCPS)でのチューブ留置後,蛇咬傷,熱傷,圧挫症候群などが挙げられる2)。コンパートメント症候群では,疼痛,運動麻痺,知覚異常,他動的伸長時の疼痛の4つの症状の感度が高い。創への異物残存の可能性は,病歴と受傷機転から推測できる(「§1-41 コンパートメント症候群」参照)。

    ■バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    軟部組織損傷単独でバイタルサインは崩れない。ショックバイタル時は,体幹部内臓損傷を考える。

    【身体診察】

    軟部組織損傷の程度の評価が重要である。広範な軟部組織損傷は感染やコンパートメント症候群の発症リスクを増加させる。

    皮膚の損傷や四肢の変形,非対称性などで軟部組織を考える。四肢全体を視診し,患者を横向きにしてさらに視診する。

    骨と軟部組織を触診し,圧痛,轢音,コンパートメントが硬くないかを評価する。

    神経血管系の診察では,末梢の脈拍の性状,感覚,運動機能を記録する。

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