□暑熱環境に長くいた,あるいはいた後の体調不良はすべて熱中症を疑う。
□治療より予防,そして早期の認識と適切な対処が,重症化および死亡を回避する最も有効な方法である。
□若年~中壮年に多い労作性熱中症と,高齢者が日常生活中に陥る古典的(非労作性)熱中症の2つに分類する(表1)1)。
□労作性熱中症:元気な男性が肉体労働やスポーツを始めて数時間後に体調不良を訴え倒れるもので,発症は急激である。梅雨期の晴れた日や,台風一過の晴天の日にも起こる。
□古典的(非労作性)熱中症:盛夏に熱波が到来し猛暑日と熱帯夜が連続しはじめると,数日後から食欲低下,脱水にもともとある病気の悪化も手伝って徐々に発症する。
□暑熱環境に長くいた,あるいはいた後の体調不良はすべて熱中症を疑う必要がある。労作性熱中症は炎天下が圧倒的に多いが,古典的熱中症の半数は屋内(居間や寝室)で発症している。
□高齢者,男性,都市部,低所得者,慢性疾患を持つ者は,入院および救急部門での死亡の危険因子となる。非労作性熱中症では,独居,日常生活動作が低下した要介護者や老人施設入所者,心疾患,悪性腫瘍,精神疾患などの基礎疾患,降圧薬,利尿薬,向精神薬の服用がこれに加わる。
□重症度分類:日本救急医学会の熱中症分類2015を表2に示す。Ⅰ度は現場での応急処置と見守りで対応可能な病態,Ⅱ度は速やかに医療機関の受診を必要とする病態で,現場で一般市民が意識障害の有無を基準に鑑別する必要がある。Ⅲ度は入院が必要な病態で,医療機関搬送後に採血・血液検査の結果などから医師が判断する。
□40℃以上の高体温,JCS 300の深昏睡,140BPMを超える頻脈,SBP 90mmHg未満のショックは,単変量解析で死亡に直結する予後不良因子である。
□乾燥した皮膚と粘膜,発汗の消失,高体温,尿量減少は脱水のサインである。
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