□肺胞腔や間質に好酸球が集積し浸潤することを特徴とする。肺炎と診断し抗菌薬治療を行ったにもかかわらず改善しない場合,末梢血好酸球増加を伴う場合などは本疾患を疑う必要がある。
□好酸球性肺炎をきたす疾患は数多くあり,単一疾患ではない1)。原因が不明なものとして慢性好酸球性肺炎および急性好酸球性肺炎がある。全身性疾患に伴うものとして,好酸球性肉芽腫性多発血管炎(Churg-Strauss syndromeと同義),特発性好酸球増加症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)が挙げられる。原因が明らかなものとしては,寄生虫感染,薬剤誘発性,アレルギー性気管支肺アスぺルギルス症が知られている1)。
□治療方針を決定し患者指導を行う上で,原因の検索,鑑別診断が重要である。本稿では,慢性好酸球性肺炎2)および急性好酸球性肺炎3)について述べる。
□咳,発熱,労作時の息切れを伴う。
□気管支喘息が先行するか,随伴することが多い。
□胸部X線画像所見異常として発見されることもある。
□特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP)との鑑別を要するが,困難であることも多い。
□1週間以内の急性発熱が特徴的。
□乾性咳,息切れ,胸痛などを伴う。
□男性に多く,比較的若年の健常人に発症する。
□喫煙,薬物吸入,粉塵曝露に引き続いて発症した報告例が多いことから,何らかの吸入抗原に対する急性の過敏反応が病態機序として推測されている1)4)。
□血中好酸球増多が特徴的。IgE値,CRP値が上昇していることも多い。
□胸部単純X線や胸部CT画像では浸潤陰影を認める(図)。典型例では肺水腫のネガ像("photographic negative of pulmonary edema")といわれる辺縁主体の浸潤陰影を呈する。
□確定診断のために気管支鏡検査が必要。
□気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)の細胞分画で好酸球増多,好酸球比率の増加(40%以上であることが多い)が認められる。
□呼吸機能検査,特に肺活量(vital capacity:VC),努力性肺活量(forced vital capacity:FVC),拡散能(diffusing capacity of the lung for CO:DLCO)は,疾患重症度および治療効果判定のために有用である。閉塞性換気障害を呈する場合は喘息の合併にも留意する。
□外科的肺生検は鑑別診断に難渋する場合に限って行われることがある1)。
□発症時は血中好酸球数が正常であることが多い。
□胸部単純X線ではしばしばカーリーBラインを伴う。胸水を伴うこともある。
□肺局所における好酸球増多を証明する必要があるため,気管支鏡検査が必要。
□BALFの細胞分画で好酸球増多,好酸球比率の増加が認められる。診断基準では好酸球比率25%以上とされている。
□原因として薬剤や喫煙などが疑われる場合,専門施設におけるチャレンジテストを行う場合がある。
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