非小細胞肺癌は肺癌の80~85%を占め,腺癌,扁平上皮癌,大細胞癌の順に頻度が高い。このうち,治療標的となるドライバー遺伝子(EGFR/ALK/ROS1/BRAF/MET/RET/NTRK/KRAS/HER2)の異常は,主に肺腺癌において検出される。日本人の肺腺癌患者の約50%にEGFR遺伝子変異が検出され,その他の治療標的となるドライバー遺伝子は1~5%ほどの頻度で検出される。現在,ドライバー遺伝子を標的とした様々な薬剤が使用でき,いずれの薬剤においても高い治療効果が報告されている。
ドライバー遺伝子の有無により治療方針が大きく異なるため,手術療法および放射線治療が適応とならない症例に対しては,腫瘍検体を用いたドライバー遺伝子検査を必ず行う。治療標的となりうるドライバー遺伝子は多数あるため,1回の測定で網羅的な遺伝子検査を行うことができる「オンコマインⓇDx Target TestマルチCDxシステム」または「AmoyDxⓇ肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」へ提出することが望ましい。そのためには,診断のための生検時にできるだけ大きな腫瘍組織を採取し,適切な条件下でホルマリン固定からパラフィン包埋ブロック作製までの処理を行う。
残り1,673文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する