過換気症候群とは,器質的疾患が認められないにもかかわらず,精神的・心理的な要因により換気が過剰に起こることで動脈血二酸化炭素分圧が35Torr未満に低下し,主に呼吸性アルカローシスに起因する多彩な全身症状を呈する症候群である。
確立した診断基準はないが,以下の臨床徴候が診断の参考になる。①発作性の過換気により,呼吸困難や四肢のしびれなど多彩な全身症状を認める,②呼吸性アルカローシスを呈する,③器質的疾患が除外される,④過換気の改善により,速やかに全身症状が改善する。
また過去の過換気症状のエピソードや,心因性反応を含む精神疾患への罹患の有無に関する詳細な問診は診断上大切である。呼吸器疾患や肺血栓塞栓症を除外するための胸部X線検査,心電図検査,さらに血中D-ダイマーの測定は有用である。なお,過換気症候群患者はパニック発作の診断基準を満たすことが多い。
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