□消化管粘膜下腫瘍(gastrointestinal submucosal tumor)は,消化管粘膜下に腫瘤を形成する病変の総称であり,悪性腫瘍,良性腫瘍,および非腫瘍性病変を含む。
□胃の粘膜下腫瘍には,消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)や平滑筋肉腫,悪性リンパ腫,神経内分泌腫瘍などの悪性腫瘍のほかに,平滑筋種や神経鞘腫,顆粒細胞腫,グロームス腫瘍,リンパ管腫,脂肪腫,異所性膵,嚢胞,炎症性線維性ポリープなど良性病変がある。
□十二指腸あるいは小腸の粘膜下腫瘍には,GIST,平滑筋肉腫,悪性リンパ腫,神経内分泌腫瘍などの悪性腫瘍,およびブルンナー腺腫や平滑筋腫,脂肪腫,傍神経節腫など良性腫瘍がある。
□GISTは,胃および小腸に発生する粘膜下腫瘍の中では比較的頻度の高い腫瘍である。症状があって発見されるGISTの年間発見頻度は10万人当たり1~2人と言われている。GISTは高頻度にKIT遺伝子の機能獲得性変異を有し,KIT蛋白のチロシンキナーゼ活性を阻害する分子標的薬が治療に用いられる。
□胃および小腸の平滑筋肉腫はきわめて稀である。
□吐血や下血,腹痛,腹部膨満感,腹部腫瘤触知,体重減少などの症状がみられる。胃の粘膜下腫瘍は胃癌検診時に無症状で発見されることも多い。
□消化管内視鏡:粘膜下腫瘍は表面が正常粘膜に覆われた隆起として観察され,bridging foldが特徴的所見である。GISTはしばしば隆起の中央に潰瘍形成を伴う。多くの場合,粘膜下腫瘍は鉗子生検では確定診断が困難である。
□造影CT:GISTは血管に富み,腫瘍が造影されることが多い。腫瘍が不均一に造影されるのは悪性の所見である。
□超音波内視鏡:GISTや平滑筋肉腫,平滑筋腫,神経鞘腫などは固有筋層(第Ⅳ層)に連続性を示し,筋層とほぼ同等のエコーレベルの腫瘤として描出される。確定診断には超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNAB)が有用である。
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