long segment Barrett esophagus(LSBE)由来の腺癌の治療法についてご教示下さい。三重大学・池之山洋平先生にご解説をお願いします。
【質問者】
門田智裕 国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科医長
【LSBE由来の表在腺癌は癌部の内視鏡切除に加え,背景バレット食道の治療も考慮すべきである】
バレット食道腺癌は欧米で増加しており1),日本を含むアジアでも同様の傾向にあります2)。発癌母地となるバレット食道は,その最大長が3cm未満のshort segment Barrett esophagus(SSBE)と,3cm以上のlong segment Barrett esophagus(LSBE)に大別されます。本邦はSSBE由来の腺癌が中心でしたが,近年,食の欧米化に伴いLSBE由来の腺癌が増加しています。
表在型バレット食道腺癌の治療は,初期は外科的に食道切除が行われていましたが,現在は内視鏡治療が第一選択です3)。本邦における早期の消化管癌(食道,胃,大腸)に対する標準治療は,内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)ですが,それはバレット食道腺癌でも同様です。実際,SSBE由来の腺癌のESD治療成績は良好です4)。
一方,LSBE由来の腺癌は,内視鏡治療後の異時再発率が高く,特にバレット粘膜長が,より長いものはその傾向が顕著です4)5)。また,範囲診断が困難なびまん性の病変として再発し,やむなく外科的切除が行われ,食道が温存できない症例もあるため,解決すべき課題と考えられます。
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