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痔瘻[私の治療]

No.5272 (2025年05月10日発行) P.34

辰巳健志 (横浜市立市民病院炎症性腸疾患科診療担当部長)

小金井一隆 (横浜市立市民病院炎症性腸疾患科科長)

登録日: 2025-05-08

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  • 男性に多い疾患で,肛門管内から発生した膿瘍が肛門や直腸周囲に進展し,膿瘍の排膿後に線維化し瘻管を形成した病態(これまで肛門周囲膿瘍は必ず痔瘻に移行すると考えられていたが,最近は肛門周囲膿瘍の切開排膿後の痔瘻への移行率は30%程度と報告されている)。肛門陰窩から肛門腺に細菌が侵入し感染を起こしたcryptoglandular infectionが原因となることが多いが,裂肛,クローン病,結核,HIV感染,膿皮症などに起因する痔瘻も頻度は高くないものの存在する。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    肛門周囲膿瘍合併例は発熱,肛門周囲の自発痛,圧痛,腫脹,硬結を認める。排膿後,痔瘻のみとなった症例では肛門周囲に二次口(瘻管の皮膚側での開口部)を認め,瘻孔からの排膿と周囲の腫脹,硬結を認める。

    【検査】

    肛門内に挿入した示指と肛門外の母指との双指診で索状の瘻管を触知することにより診断が可能である。経肛門的超音波検査では膿瘍や瘻管は低エコー領域として描出される。骨盤CT・骨盤MRIは痔瘻の広がりを診断する際に用いるが,CTよりコントラストの分解能に優れるMRIのほうが,立体的に複雑痔瘻の進展様式を把握するのに有用である。

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