株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

大腸ポリープ[私の治療]

No.5264 (2025年03月15日発行) P.45

浦岡俊夫 (群馬大学大学院医学系研究科内科学講座消化器・肝臓内科学教授)

登録日: 2025-03-14

最終更新日: 2025-03-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 大腸粘膜から発生し内腔側に突出した隆起性病変を大腸ポリープ(colorectal polyp)と総称する。大腸ポリープは,腫瘍性および非腫瘍性に組織学的に分類され,腫瘍性にはがん,腺腫,SSL(sessile serrated lesion)が含まれ,腺腫が最も頻度が高い。非腫瘍性には過形成性,過誤腫性,炎症性ポリープなどが含まれる。腺腫性ポリープにおいて遺伝子異常が蓄積して大腸癌に至る腺腫癌化説に基づく発がん経路がメインルートと考えられており,同病変への内視鏡的切除は,大腸癌の発生率および死亡率低下につながることが科学的に証明されている。一方,過形成性ポリープは,がん化しない病変として取り扱われている。

    ▶診断のポイント

    内視鏡による診断の精度が最も高い。発見したポリープの鑑別診断(腫瘍・非腫瘍,がん・非がん)を正確に行うために画像強調(もしくは色素撒布)と拡大内視鏡を用いた観察を行い,JNET(The Japan NBI Expert Team)分類やpit pattern分類を用いた精度の高い内視鏡診断が求められる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    大腸癌の発生率および死亡率低下を目的に,腺腫性ポリープはその径にかかわらず内視鏡的切除を行う。1cm未満の腺腫に対しては,内視鏡的切除に伴う偶発症発症リスクの低いコールドポリペクトミーの適応となる。5mm未満の腺腫は担がん率の低さから経過観察も容認されるとの意見があるが,非切除でよいというエビデンスは乏しく,また,その場合の確立した経過観察法はない。1cm以上,またはがんを疑う病変には,高周波を伴う内視鏡的切除法にて切除する。SSLと診断されたポリープも腺腫と同様に内視鏡的切除の適応となる。

    WEBコンテンツ「初めてでもできる実践コールドポリペクトミー〜クリーンコロンへの道」

    残り1,531文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top