□MALTリンパ腫は,消化管などの臓器に慢性炎症で形成される粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue:MALT)の辺縁帯B細胞由来の低悪性度リンパ腫と定義される。
□消化管の中でも胃に多くみられ,胃MALTリンパ腫(MALT of the stomach)は胃原発リンパ腫の40~50%を占める。その内約90%はHelicobacter pyloriの感染による慢性胃炎を基盤に発生する。そのためH. pyloriの除菌治療が著効し,50~80%の症例でリンパ腫の完全寛解が得られるのが特徴である。
□臨床病期が進行しない限り無症状であり,健診異常による偶然の上部消化管内視鏡検査で発見されることが多い。
□上部消化管内視鏡検査では胃炎との鑑別が問題となる。
□潰瘍,腫瘤・隆起,襞腫大・肥厚,凹凸顆粒状粘膜,敷石状粘膜など,特徴的で多彩な内視鏡所見があり,病理組織から特徴的なびまん性に浸潤する小型から中型の胚中心細胞類似細胞(centrocyte-like cell:CCL cell)やリンパ上皮性病変(lymphoepithelial lesion:LEL)が認められ,一定以上の組織スコアでMALTリンパ腫と診断する1)。
□表面抗原のフローサイトメトリー解析や,リアルタイムPCR法またはFISH(fluorescence in situ hybridization)法のB細胞腫瘍を支持する所見も参考になり,MALTリンパ腫に特異的な染色体転座〔t(11;18)/API2-MALT1〕を検出することも診断に重要な所見である2)。
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