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虚血性大腸炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-13
山田哲弘 (東邦大学医療センター佐倉病院内科)
鈴木康夫 (東邦大学医療センター佐倉病院内科教授)
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  • ■疾患メモ

    虚血性大腸炎(ischemic colitis)は,脾弯曲部とS状結腸直腸移行部のwatershed area(血管支配の分水嶺)に多く発生する急性局所性小血管非閉塞性変化,粘膜灌流不全である1)。腸間膜領域の血管攣縮による非閉塞性腸間膜虚血(non-occlusive mesenteric ischemia:NOMI)とは異なる疾患概念である。

    原因は不明なことも多いが,全身循環動態変化や心不全,腹部動脈瘤の手術の合併症としても考えられる。高齢者や高血圧,糖尿病,腎不全,動脈硬化などの血管側に基礎疾患を伴う場合がある一方で,若年者にも発症し,血管炎,血栓性素因,ホルモン製剤などの薬物などが原因になることもある。便秘後の発症は,腸管内圧の上昇が誘因とされる。

    約65%と多くは軽症一過性型であるが,粘膜下層の線維化により狭窄を残す狭窄型が約25%あるほか,腸管壊死に陥る壊死型もある2)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    典型的には,突然起こる強い左下腹部痛,排便回数の増加,24時間以内の鮮血便が3徴候である。

    【検査所見】

    速やかな内視鏡検査にて区域性の粘膜浮腫,縦走潰瘍が確認される(図1・2)。注腸X線検査においてはthumb printing(母指圧痕像)を認める3)

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