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先天性巨大結腸症(ヒルシュスプルング病および類縁疾患)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-15
内田恵一 (三重大学大学院消化管・小児外科准教授)
楠 正人 (三重大学大学院消化管・小児外科教授)
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  • ■疾患メモ

    ヒルシュスプルング病(Hirschsprung disease,H病)は,直腸から連続的に壁内神経節細胞が先天的に欠如するため,無神経節部腸管の蠕動が欠如する。

    ヒルシュスプルング病類縁疾患(H病類縁)はH病と異なり,腸管に神経節細胞が存在するものの,H病のような症状を示す疾病の総称である(表11)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    〈H病〉

    新生児期から,腹部膨満,胆汁性嘔吐,難治性便秘などの下部消化管閉塞症状で発症する。臨床症状や腹部単純X線写真から本症を疑い検査を進める。

    〈H病類縁〉

    H病同様に下部消化管閉塞症状で発症することが多いが,疾患により異なる(表1)。病変の範囲はIG,congenital HG,MMIHS,CIIPSは全腸管におよび,IND,acquired HG,SDI,IASAは限局性の病変と考えられている。

    【検査所見】

    〈H病〉

    腹部単純X線:高頻度発症の短域型では大腸全体にガスが多く,特にS状結腸が拡張し骨盤内の直腸ガスが欠如することが多い。全結腸型や小腸型では小腸の拡張像がみられる。

    注腸造影:肛門から連続する無神経節部腸管は狭小化し(narrow segment),移行部(transitional zone)を経て拡張する(caliber change)正常神経節部腸管が造影される。経肛門的カテーテルはバルーンを膨らまさず,先端開口型を使用してゆっくり造影剤を注入するのがポイントである。

    直腸肛門内圧検査:直腸肛門反射は陰性である。

    直腸粘膜生検によるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)染色検査:粘膜下層にAChE染色陽性の太い神経線維束が出現し,粘膜筋板と粘膜固有層に神経線維増生が認められる。また,粘膜下層に神経節細胞の欠如がみられる。

    〈H病類縁〉

    腹部単純X線:腸管異常拡張像とniveauが認められる。

    注腸造影:IGはmicrocolonを呈することが多い。MMIHSでは,microcolonと短結腸,蠕動異常などがみられる。SDは,部分的に拡張した腸管が描出される。

    直腸肛門内圧検査:直腸肛門反射は陽性または非典型的陽性である。IASAでは,直腸粘膜生検のAChE染色は正常(陰性)であるが直腸肛門反射は陰性である。

    直腸粘膜生検によるAChE染色検査:INDではgiant gangliaとAChE染色陽性である。

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