□痔核(hemorrhoid)とは,肛門内外に発生した静脈瘤様の腫瘤のことである。
□発生部位により外痔核と内痔核にわけられる。
□脱肛とは,痔核や肛門上皮が肛門外へ脱出する状態のことである。
□痔核の診断は詳細な病歴の聴取(問診)と肛門診察(視診,触診,指診,肛門鏡検査)によって行われる1)。
□外痔核は歯状線より下方に位置し,下直腸静脈に流入する外痔静脈叢が静脈瘤様に変化したもので,急性と慢性にわけることができる2)。
□急性外痔核は外痔静脈叢の中に血栓を形成したり,その周囲に浮腫を伴ったりするもので,疼痛,腫脹,出血などの症状を呈する(図1a)。
□慢性外痔核は外痔静脈叢の拡張やうっ血を主体としたもので,脱出以外の症状は呈さない(図1b)。
□内痔核は歯状線上方に位置し,上・中直腸静脈に流入する内痔静脈叢が静脈瘤様に変化したものである(図2a)。
□内痔核の主な症状は,出血,脱出,疼痛,粘液漏出などである。痔核の大きさ,痔核の種類,慢性期と急性期などの諸条件によって単独または複数の症状が出現する。
□臨床分類としてGoligher分類がある(表)。これは内痔核の脱出・還納の程度を患者の自覚症状により4段階にわけたものである(臨床病期分類)。簡便で普遍性があり,治療法選択の指標として汎用されている1)。
□内痔核と外痔核の間で歯状線にまたがるものを言うが,本質的には外痔核である。
□痔核が肛門管外に脱出した状態が持続し,肛門括約筋により絞扼され急激な循環障害による血栓,潰瘍,壊死およびリンパ浮腫などの症状を呈し,整復が困難になり,激しい疼痛をきたすものを嵌頓痔核という(図2b)。
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