□血清リン(P)濃度の基準値は年齢によって変化するが,成人では2.5mg/dL未満であれば低P血症である。
□血清P濃度1.5mg/dL未満のものを高度の低P血症と呼び,特に注意が必要である。
□発症機序としては,①細胞内や骨へのPの移動,②腸管での吸収低下,③尿中への排泄増加,のいずれかを考える必要があるが,必ずしも単独の機序ではなくいくつか重なって生じることも多い。
□通常の食事でPが不足することはないが,慢性下痢や慢性アルコール中毒などでは低P血症になることがある。
□血清P値の調節に大きく関わるのは,副甲状腺ホルモン,活性型ビタミンD,線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor 23:FGF-23)である。
□軽度~中等度(血清P濃度1.5~2.5mg/dL程度):直ちに臓器障害をきたすことはない。ただし長期間持続する場合は骨の石灰化を障害し,小児ではくる病,成人では骨軟化症の原因となる。
□高度(血清P値1.5mg/dL未満):赤血球の2, 3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)レベルの低下による赤血球からの酸素放出低下,および細胞内でのアデノシン三リン酸(ATP)レベルの低下により,組織低酸素症が引き起こされる。そのため,代謝性脳症,近位筋力低下,横紋筋融解症,イレウス,心不全,呼吸不全,溶血などを起こす可能性がある。
□血清P濃度は年齢によって基準値が変化するが,成人では2.5mg/dL未満であれば低P血症である。ただし,食後には細胞内移行により血清P値が一過性に低下することが多く注意を要する。
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