□健常成人の血清リン(P)濃度は2.5~4.5mg/dLの範囲に保持されている。血清P濃度4.5mg/dL以上を高リン血症と言う。
□発症機序としては,①偽性高P血症,②細胞外への移動,③P摂取増加,④腎尿細管での再吸収増加,⑤腎排泄低下が挙げられるが,この中では腎排泄低下の頻度が圧倒的に高く,高P血症は基本的には腎機能障害がないと起こりにくい。
□血清P値の調節に大きく関わるのは,副甲状腺ホルモン,活性型ビタミンD,線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor 23:FGF-23)である。
□高P血症そのものによる症状は乏しく,むしろ高P血症に伴う低Ca血症に関連した症状に注意する必要がある。
□一定期間以上にわたり高Ca血症を伴って高P血症が持続する場合は,異所性石灰化の原因となる。
□特に急性に進行した高P血症では血清P値6mg/dL程度でもテタニーを惹起することがある。
□血清P値が7~8mg/dLになると心臓刺激伝導系の異常をきたす可能性もある。
□血清P濃度は年齢によって基準値が変化するが,成人では4.5mg/dL以上であれば高P血症である。ただし,食後には細胞内移行によりPが一過性に低下することが多く,判断には注意を要する。
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