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結節性多発動脈炎(PAN)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-03
亀田秀人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野教授)
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  • ■疾患メモ

    結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PAN)は,中等から小型の動脈に生じた壊死性動脈炎で,糸球体腎炎や細動脈・毛細血管・細静脈の血管炎を認めず,抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)と関連しない。

    わが国の患者数は100万人当たり11.7人,年間の新規発症も100万人当たり0.5人と推定されている稀少疾患であるが,5年生存率は80%程度の予後不良な疾患である。発症のピークは50歳代で,男女比はおよそ3:1である。

    皮膚に限局したPAN(皮膚型PAN)は内臓病変を欠如するため,生命予後が良好である。

    ■代表的症状・検査所見

    厚生労働省特定疾患難治性血管炎班2006年改訂の診断基準に基づいて記載する。

    主要症候2項目以上と組織所見のある症例が確実例(definite),主要症候2項目以上と血管造影所見の存在する例と主要症候のうち全身症状を含む6項目以上存在する例が疑い例(probable)となる。

    【症状(主要症候)】

    発熱(38℃以上,2週以上)と体重減少(6カ月以内に6kg以上)。

    高血圧。

    急速に進行する腎不全,腎梗塞。

    脳出血,脳梗塞。

    心筋梗塞,虚血性心疾患,心膜炎,心不全。

    胸膜炎。

    消化管出血,腸梗塞。

    多発性単神経炎。

    皮下結節,皮膚潰瘍,壊疽,紫斑。

    多関節痛(炎),筋痛(炎),筋力低下。

    【検査所見】

    組織所見:中・小動脈のフィブリノイド壊死性血管炎の存在。

    血管造影所見:腹部大動脈分枝(特に腎内小動脈)の多発小動脈瘤と狭窄・閉塞。

    血液検査所見:白血球増加(1万/μL以上),血小板増加(40万/μL以上),赤沈亢進,C反応性蛋白(CRP)強陽性。

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