サルコイドーシスは原因不明の全身性炎症性疾患で,病変部位で類上皮細胞肉芽腫が形成される。肺門・縦隔リンパ節,肺,眼,皮膚をはじめとしたほぼすべての臓器に病変ができる可能性があり,臨床像はきわめて多彩である。呼吸器病変はサルコイドーシスの臓器病変として最も頻度が高い。呼吸器病変は,①肺門・縦隔リンパ節,②肺野,③気道,④胸膜に生じる。
呼吸困難,乾性咳嗽,胸痛などの呼吸器症状が1/3でみられるが,健診発見例などで自覚症状に乏しいものも多い。
胸部X線/CTに加え,各種採血(血清ACE,可溶性IL-2R,リゾチームなど)を行い,必要に応じてGaシンチグラム,気管支鏡検査を行う。胸部X線では両側肺門リンパ節腫脹(bilateral hilar lymphadenopathy:BHL)がみられ,肺サルコイドーシスにおけるBHLの頻度は75.8%と高い。そのほかに縦隔リンパ節などが腫大する。肺野病変はリンパ路に沿って広がることが特徴で,胸部CTでは広義間質の多発粒状影が典型的所見である。
肺サルコイドーシスは約2/3の症例で自然寛解するため,無治療経過観察することが基本であるが,10~20%は慢性または進行性の経過をたどり,再燃を繰り返す症例もある。単にリンパ節腫大が持続あるいは増大しているだけでは,治療の適応とはならない。肺野病変もあるだけでは治療の対象とはならず,「日常生活に支障をきたすような呼吸困難や咳嗽などの呼吸器症状がある症例」や「無症状でも肺野病変が経時的に進行し,肺機能障害が悪化する症例」は治療の適応となる1)2)。
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