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混合性結合組織病[私の治療]

No.5263 (2025年03月08日発行) P.42

藤井隆夫 (和歌山県立医科大学附属病院リウマチ・膠原病内科教授)

登録日: 2025-03-10

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  • 混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)は抗U1-RNP抗体高力価陽性を特徴とし,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)様,全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)様,多発性筋炎様の症状が混在する疾患である。レイノー現象が必発である。また,肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)の合併が10%程度に認められ,予後規定因子として重要である。比較的特徴的な臨床症状として三叉神経障害,無菌性髄膜炎がある。男女比は1:13~16と女性が圧倒的に多く,好発年齢は30~40歳代である。わが国では指定難病であり,患者数〔令和3年度末特定医療費(指定難病)受給者証保持者数〕は1万9人と報告されている。

    ▶診断のポイント

    診断には厚生労働省基準を参照されたい1)。SLEやSSc,また多発性筋炎/皮膚筋炎の基準(国際的な分類基準も含む)を満たした場合(抗Sm抗体などこれらの疾患に特異的な自己抗体が存在する場合)には,安易にMCTDと診断しない。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    MCTDが疑われた場合,まず膠原病専門施設を受診させる。またMCTDと診断されたら,まず臓器病変の広がりと重症度を評価する。診断・重症度分類および治療薬の選択には,「MCTD診療ガイドライン2021」を参照されたい2)

    レイノー現象など末梢循環障害にはアムロジン(アムロジピンベシル酸塩)などのカルシウム拮抗薬かプロサイリン(ベラプロストナトリウム)を使用する。三叉神経障害には対症的にテグレトール(カルバマゼピン)が使用される。無菌性髄膜炎などの中枢神経障害,間質性肺疾患などの活動性の肺病変,血小板減少症などの血液障害,またPAHがある場合には重症である。PAHについては,自覚症状がなくとも定期的に心エコー検査などでスクリーニングを行う。

    SLE,SSc,多発性筋炎に準じた治療が原則となるが,グルココルチコイド(GC)が多用される慢性疾患であり,常にその副作用に注意し必要最小限の量を処方する。疾患活動性が高い場合には入院の上,GC大量投与が行われるが,PAHではシクロホスファミドの併用が有効である。現在では多数の肺高血圧症治療薬が使用できるため,肺高血圧症に詳しい専門医と密に連携し,右心カテーテル検査で正確な肺動脈圧やその上昇の原因,心機能を評価する。その上で,免疫抑制療法のみでPAHが制御できない場合には,適切な薬剤を選択・併用する。無菌性髄膜炎が認められた場合,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は禁忌である。使用中であればいったん中止し,同種同効薬も原則使用しない。

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