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腎障害がある関節リウマチ患者の治療は?

No.5248 (2024年11月23日発行) P.54

峯村信嘉 (三井記念病院総合内科科長)

吉村祐輔 (虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科)

澤 直樹 (虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科部長)

登録日: 2024-11-25

最終更新日: 2024-11-19

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  • 腎障害(特に高度腎障害)のある活動性関節リウマチ患者における薬物療法(例:①csDMARDs,②bDMARDs,③tsDMARDsそれぞれの薬剤カテゴリーにおける薬剤選択時の注意事項),薬物治療施行中の注意点について,虎の門病院・澤 直樹先生にご解説をお願いします。
    ①csDMARDs:conventional synthetic disease modifying anti rheumatic drugs
    ②bDMARDs:biological disease modifying anti rheumatic drugs
    ③tsDMARDs:targeted synthetic disease modifying anti rheumatic drugs

    【質問者】
    峯村信嘉 三井記念病院総合内科科長


    【回答】

    【感染等のリスクに留意しつつ,bDMARDsやtsDMARDsを適切に取り入れることが有用である】

    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)合併関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)患者においては,薬物療法の選択肢が制限されます。

    ①csDMARDsについては,RA治療のアンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)が腎排泄のため,推定糸球体濾過率(estimated glomerular filtration rate:eGFR)<60mL/分/1.73m2で慎重投与,<30で禁忌となります。タクロリムスには腎機能による減量基準や禁忌はありませんが,タクロリムス自体が腎障害の原因となりうるため,腎機能のフォローや薬物血中濃度モニタリングが必要です。

    ②bDMARDsは,CKD合併RA患者においても有効かつ安全に使用できる可能性が期待されます。CKD合併RA患者(透析患者を含む)におけるbDMARDsの有効性・安全性を初めて網羅的に検討した筆者らの研究では,腎機能正常群と比較してCKD合併群におけるfirst-line bDMARDsの36カ月継続率に有意差がないことが示されました。また,一般的にCKDは感染症のリスクとなりますが,eGFR<30でも感染によるbDMARDs中止のリスクは上昇しないことが示され,かつbDMARDs導入後にプレドニゾロン併用量を減らせる傾向があることも示されました。これらの結果から,CKD合併RA患者において,bDMARDsは有効かつ安全に使用できると考えられます。

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