□遺伝的体質に環境因子が複合的に関わって生じる内因性の湿疹で,わが国でも小学生の1割ほどが罹患する。
□患者の多くはアトピー素因を持つが,最近はフィラグリン遺伝子変異に代表されるバリア機能異常(ドライスキン)も注目される。
□バリア障害が非特異的な炎症反応をもたらすと同時に,アレルゲンの侵入を通じて感作と特異的アレルギー反応につながる。
□増悪と寛解を繰り返す,そう痒のある湿疹を主病変とする疾患で,左右対側性に分布し,しばしば新旧の皮疹が混在する1)。
□生後1~2カ月で乳児湿疹として発症することが多く,頭と顔の炎症の強い紅斑や丘疹で始まり,滲出液を伴う黄色痂皮を付着する。
□幼小児期では肘窩,膝窩,頸部,手首や足首のような屈曲部位に皮疹が持続し,慢性化により鱗屑を伴う浸潤性紅斑,丘疹から苔癬化をきたすほか,毛孔が鳥肌様に角化して乾燥が目立つ。
□成人期では各所に苔癬化病変がみられるほか,上半身の急性炎症所見が強くなる。
□特異的な所見はない。皮疹の重症度に応じて血清TARC値やLDH値が上昇し,短期的な病勢も反映する。
□アトピー素因があれば末梢血好酸球数や血清総IgE値が高いことが多く,感作の程度に応じて,ダニ,ハウスダストなどの環境抗原や,特に乳幼児では食物に対する特異的IgE値の上昇例がある。
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