□正常使用量にて生じた有害または意図しない反応に起因するものを薬剤副作用と呼ぶ。そのうち皮疹を伴うものが薬疹である。
□濃度依存性に伴って出現するtype Aと,特定の服用者に限って出現するアレルギー性または非アレルギー性のtype Bに分類される。
□原則的に薬剤は中止し,出現する薬疹のタイプや臨床像に応じた治療が必要である。
□三環系抗うつ薬の口渇やβ遮断薬による徐脈などが,type Aに属する典型例と考えられる。
□EGFR-チロシンキナーゼ阻害薬などの新規抗がん剤は,投薬を受けたほぼすべての患者において皮膚の乾燥,挫瘡様皮疹,爪囲炎がみられ,投与量の減量で改善される。
□代謝酵素の個人差や,アレルギー機序による。後者が圧倒的に多い。
□臨床像によって区別されるが,個々の病型でも軽微なものから,全身症状を伴う重症例がある。
□抗生剤や消炎鎮痛剤などに起因する播種状紅斑丘疹型や多形(滲出性)紅斑型が最も多い。
□体幹,四肢に左右対称性に多数の紅斑,丘疹が散在または融合傾向を呈して存在する。そう痒を伴うことも多い。
□降圧薬やニューキノロン系などに起因する光線過敏型は,前者に次いで頻度が高い。鼻背部や頬部,頸部,手背に紅斑を認める。
□サリチル酸製剤やコデインなどで起こりやすい固定薬疹は薬剤投与により特定の場所に紅斑を繰り返し,類円形の色素沈着を呈する。
□その他,稀なタイプであるが,急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis:AGEP)型,乾癬型,水疱型(類天疱瘡やIgA線状水疱症など),扁平苔癬型,蕁麻疹型(アナフィラキシー型)などがある。〔重症薬疹である薬剤性過敏症症候群(drug-induced hyper-sensitivity syndrome:DIHS),Stevens-Johnson症候群(SJS),中毒性表皮壊死症(TEN)に関しては,次項を参照〕。(「§14-12 重症薬疹」参照)
□軽症例では一般検査所見に大きな異常はみられない。
□頻度の高い播種状紅斑丘疹型や多形紅斑型では,高頻度に好酸球増多,LDH,CRPの上昇などがみられる。
□AGEPや乾癬型では好中球増多が特徴的である。
□当初,播種状紅斑丘疹型や多形紅斑型と思われる場合でも,CRP,CPK,LDHの著増や,肝酵素上昇,腎機能障害などを伴う場合や,病理組織所見上,多くの表皮壊死細胞数を認める場合は,SJSやTENの移行を考える。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより