□酒皶は,顔面の紅斑・毛細血管拡張を背景として,丘疹・膿疱や鼻瘤を混じる慢性炎症性疾患である。
□赤ら顔やほてり感によって,患者のQOLを障害する。
□成人以降の女性に多いが,日本人での発症頻度は不明である。
□酒皶の一義的な病因は不明であるが,外界刺激の感受性の増加や自然免疫機構の異常などが病態として提唱されている。
□紅斑毛細血管拡張型酒皶:眉間部,頬部,鼻部・鼻周囲,頤部の顔面中央部を中心に毛細血管拡張と紅斑を呈する。ダーモスコピーで観察すると紅斑は毛包周囲に強いが,重症化すると毛包間の皮膚もびまん性に紅斑を呈する。外界の変化(寒暖差,アルコール摂取,日光・紫外線曝露)による発赤・潮紅の増強やほてり感を自覚する。敏感肌を自覚することも多い。
□丘疹膿疱型酒皶:挫瘡に似た丘疹や膿疱が上述の紅斑を背景として出現するが,挫瘡に特徴的とされる面皰は存在しない。
□鼻瘤腫瘤型酒皶:鼻尖部から鼻翼部の皮表部での脂腺の増大と毛包の開大とともに,鼻部全体の腫大に伴う形態変形を呈する。鼻部・鼻周囲の毛細血管拡張を伴うことが多い。
□紅斑毛細血管拡張型酒皶:真皮浅層の毛細血管拡張と,血管周囲を中心としてリンパ球を主体とした炎症細胞の浸潤が軽度に認められる。
□丘疹膿疱型酒皶:炎症細胞の浸潤がより強く,脂腺性毛包の周囲を中心にリンパ球や単球を主体とした細胞浸潤が顕著となる。また,膿疱病変部では毛包内に好中球の浸潤を認める。
□鼻瘤腫瘤型酒皶:炎症反応・細胞浸潤とともに脂腺の増大や毛包の拡張・変形を認め,線維化と弾性線維の変性を種々の程度に伴う。
□酒皶を診断するための特異的な血液検査はない。顔面に紅斑・潮紅を呈する疾患(全身性エリテマトーデスなどの膠原病,甲状腺機能障害など)を鑑別するために血液検査を行うことがある。
□その他に,顔面に皮疹を呈することが多い光線過敏症を除外するための光線テストや,接触皮膚炎を除外するための貼布試験を行うこともある。酒皶単独では,これらの検査で陽性所見を呈さない。
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