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伝染性膿痂疹(とびひ)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-20
鑑 慎司 (関東中央病院皮膚科部長)
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  • ■疾患メモ

    皮膚の細菌感染症であり,原因菌が表皮に感染して膿痂疹が生じる。

    原因菌は黄色ブドウ球菌が多いが,A群β溶血性連鎖球菌も原因になりうる。

    ヒトからヒトへと接触感染をする。接触によって,火事の飛び火のように急速に周囲の皮膚に広がるため,"とびひ"とも呼ばれる。

    あせも,虫刺され,湿疹などを引っ掻いて掻き壊したり,転んだりしてできた傷に感染する。

    夏季に多く,乳幼児に発症しやすい。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    黄色ブドウ球菌が原因菌である場合は,水ぶくれを伴う水疱性膿痂疹となる。全身症状を伴わないことが多い。

    A群β溶血性連鎖球菌が原因菌ならば,かさぶたが厚くつく痂皮性膿痂疹となる。発熱,リンパ節の有痛性腫脹,咽頭痛などの全身症状を呈することもあり,重症例では全身が紅皮症になることもある。

    【検査所見】

    病変部の表面膿より細菌培養検査を実施して,治療効果が不十分な場合に備える。

    治療効果,培養結果および薬剤感受性を見て,抗菌薬の再選択を行うこともある。

    最近MRSA(methicillin resistant Staphylococcus aureus)による水疱性膿痂疹が増加している。

    痂皮性膿痂疹では,血液検査で白血球増多やCRP上昇がみられることがある。また,皮疹の治癒後に腎炎を起こし,尿蛋白が陽性になることがある。

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