□メラノサイト系細胞の悪性腫瘍である。わが国における年間診断数は10万人当たり年間1~2人程度で,年間600人前後が死亡する。
□半数は手掌足底と爪に発症する。早期病変の特徴は数カ月以内に6~7mmを超えて増大する色素斑や,短期間に太くなる爪の黒色線である。
□治療は手術が主であり,原発巣の病変が4mm以下で潰瘍を伴っていなければ5年生存率は80%以上である。
□転移を起こした場合は,免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ,ペンブロリズマブとイピリムマブ,BRAF変異があればBRAF阻害薬のダブラフェニブとMEK阻害薬のトラメチニブの併用やBRAF阻害薬のベムラフェニブが候補となる。これらの新薬は、2014年以前の標準薬であったダカルバジンの効果を上回る。
□短期間(6カ月程度)にサイズが増大し,6~7mmを超えると早期病変の可能性が出てくる。手足の色素斑のみに注意を払う意義はない。
□爪に関しては黒い線(黒色線条)を呈するが,多くは色素細胞母斑である。やはり6カ月程度で太くなり,爪の基部が先端より太い場合や,黒,茶,青などの複数の色が混在する場合,爪周囲の皮膚にも色素斑を伴う場合は早期病変の可能性がある。
□進行した原発巣は色を失い,赤色の肉芽様病変となることがある。
□ダーモスコピー(偏光下で拡大して観察する機器)による診断が有効である。
□浸潤が疑われる場合はCTやPET/CT検査を行う。
□脳転移のスクリーニングにはMRIを撮る。
□新たな転移が発症した場合もPET/CTが望ましい。転移を起こしている場合は,血清LDH値が正常値を超えていると治療効果が下がる。
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