□陰茎腫瘍には尖圭コンジローマなどの良性腫瘍もあるが,悪性腫瘍である陰茎癌について述べる。
□陰茎癌は亀頭・包皮に発生する悪性腫瘍である。好発年齢は50~70歳で,先進国では稀な疾患である。組織学的には扁平上皮癌が95%を占める。発生原因として包茎,HPVや喫煙の関与が報告されている。一般に受診が遅れる傾向にあるため,初診時に約30%の症例で鼠径リンパ節転移がみられる。
□治療は早期癌には陰茎温存療法も行われるが,進行癌では手術療法(陰茎部分切除術,陰茎切断術,リンパ節廓清術),化学療法,放射線療法が行われる1)。予後は5年生存率で約50%と不良である。
□初期には小丘疹,紅斑,白班などの状態であるため自覚症状がなく,かつ包茎であることが多いため発見が遅れる。そのため初発症状は腫瘤が圧倒的に多く,ついで硬結,潰瘍,発赤であり,一般的な自覚症状としての疼痛,そう痒感,排膿などをきたすことは少ない。尿道へ浸潤すれば排尿障害,頻尿,尿線異常,血尿などの症状が出現する。
□検査としては,病期診断をするために原発巣の広がりやリンパ節転移,遠隔転移の有無などを検索しなければならない。
□原発巣の広がりや深達度の検索には生検,エコー,MRIが有用である。また所属リンパ節(浅鼠径リンパ節,深鼠径リンパ節)転移の有無の検索には触診やCTが有用である。
□陰茎癌では鼠径リンパ節腫大が認められることが多いが,約50%の症例では炎症のための偽陽性である。
□近年,センチネルリンパ節生検や吸引細胞診が推奨されているが,まだ普及していない。また腫瘍マーカーとして血清SCC抗原を測定するが,必ずしも上昇するわけではない。
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