□尿道悪性腫瘍は稀な疾患であり,尿路悪性腫瘍の中では唯一,男性より女性に多く認められる。
□組織は尿道原発性の扁平上皮癌,移行上皮癌,腺癌,悪性黒色腫のほかに膀胱癌,前立腺癌などの直接浸潤も認められる。
□尖圭コンジローマ,尿道カルンクルなどの良性腫瘍は,外来診療においても遭遇することが比較的多い疾患である。
□男性尿道悪性腫瘍の発生は球部膜様部尿道に最も多く(60%),ついで陰茎部尿道(30%),前立腺部尿道(10%)と続く。球部膜様部尿道および陰茎部尿道では扁平上皮癌が80~90%と最も多く,前立腺部尿道では90%が移行上皮癌である1)2)。
□女性尿道悪性腫瘍はHPV16,HPV18感染との関連が示唆されている。全体の60%は扁平上皮癌であり,移行上皮癌(20%),腺癌(10%)である3)。
□男性尿道癌の5年生存率は36~83%と報告されており,前部尿道癌のほうが後部尿道癌に比べ予後は良い(69% vs 26%)4)。
□女性尿道癌(遠位部,早期)の5年生存率は70~90%と報告されている5)。
□尿道悪性腫瘍:排尿困難,腫瘤の触知,血尿,尿道痛,尿道出血など。
□尖圭コンジローマ:外尿道口に腫瘤形成。尿道内に存在する場合も尿道口付近に存在。時に尿道出血。
□尿道カルンクル:女性尿道に発生する炎症性ポリープで外尿道口内側に発生する。腫瘤は径数mmのものから1cm以上のものまであり,大きい腫瘤では血管成分に富み,容易に出血する。多くは無症状であるが感染などにより痛み,摩擦による出血,排尿障害を認めることもある。
□尿道悪性腫瘍:視診,触診(女性の場合は経腟的),尿道鏡,尿細胞診,尿道造影。病期診断として膀胱尿道鏡所見,CT,MRIなど。
□尖圭コンジローマ:組織学的検査(生検)。ヒトパピローマウイルス検出。尿道内病変に関しては尿道鏡検査を行う。
□尿道カルンクル:視診にて腫瘤を確認。悪性所見を疑う場合には組織学的検査を行う。
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