□尿膜管遺残は胎児期の尿膜管構造が残存したもので,成人の約2%に認められると言われている。遺残尿膜管に嚢胞や腫瘍が発生することがある。
□尿膜管嚢胞は通常無症状であるが,しばしば感染を伴うことがある。
□尿膜管癌は膀胱尿膜管移行部に発生することが多く,膀胱内では膀胱頂部の腫瘍として見つかることが多い。
□通常は無症候性である。感染を伴うと発熱,疼痛を認める。
□感染を認めた場合は,血液検査にて白血球,CRPの上昇を認める。
□膀胱頂部に腫瘍を認めるケースでは,血尿を主訴に発見されることが多い。
□その他の症状に,下腹部腫瘤,下腹部痛,膀胱刺激症状,尿混濁などがある。無症状の症例も多い。
□尿膜管癌の腫瘍マーカーとしてCEA,CA19-9,CA125が報告されているが,特異的なものはない。
□いずれも画像診断にはMRIが有用である。
□原発性尿膜管腫瘍の定義は,①膀胱頂部に存在すること,②筋層または膀胱外に腫瘍の主体があること,③腫瘤の付近にcystitis glandularisがないこと,④ほかに原発性腺癌がないこと,とされている1)。
□尿膜管腫瘍の多くはムチン産生腺癌(70%)であり,ついでムチン非産生性腺癌(15%),移行上皮癌,扁平上皮癌,肉腫なども報告されている。
□尿膜管癌の病期診断は,Sheldonによるstaging2)を用いて評価することが多い(表)。膀胱癌の病期診断とは異なるため注意が必要である。
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