□腎で生成された尿が,腎盂,尿管,膀胱,尿道を経て体外に排出される過程で何らかの通過障害が生じると,尿路の内圧が上昇し腎盂や腎杯が拡張した状態になる。この状態を総称して水腎症と呼ぶ。
□この状態が持続すると腎実質が菲薄化し腎機能が低下する。
□様々な原因で水腎症が起こるが,先天性と後天性に大別される。
□一般に,腎盂腎炎や急激な尿路閉塞をきたした場合には側腹部痛が主たる症状となる。
□尿路結石や腫瘍が原因の水腎症では血尿を伴うこともある。
□先天性水腎症の場合,胎児期や乳児期に超音波検査で診断されることも多い。
□胎児期には数%の頻度で水腎症が認められるが,多くは生理的な一過性の水腎症であり,拡張が軽度の場合には自然消失することが多い。
□小児期の巨大な水腎症の場合,側腹部の腫瘤を主訴とすることもある。
□腎盂尿管移行部狭窄,膀胱尿管逆流(VUR),巨大尿管,尿管瘤,後部尿道弁など,様々な病態が先天性水腎症の原因になりうる。
□後天性の場合,尿路結石が水腎症の原因となることが多く,さらに腎盂・尿管癌,膀胱癌,前立腺肥大症による尿閉が原因となることもある。このような場合には原疾患の症状が主症状となる。
□消化器や婦人科領域の悪性腫瘍の腹腔内播種,後腹膜リンパ節転移,後腹膜線維症などによる尿管の通過障害も水腎症の原因となる。
□水腎症を疑った場合にはまず,超音波検査で拡張した腎盂,腎杯系を確認し,結石や腫瘍の有無を調べる。
□検尿で膿尿,血尿,尿糖の有無を確認し,成人では尿細胞診を行う。血液・生化学検査で炎症所見と腎機能をチェックする。
□超音波検査とKUBで尿路結石の診断がつく場合もあるが,結石陰影が不明瞭な症例や水腎症の原因が不明確な場合には,静脈性腎盂造影,CT,MRI,逆行性腎盂造影(図)などの画像診断を行う。
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