□外因性の腎損傷は尿路性器外傷で最多である。
□経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)などのinterventional radiology(IVR)の進歩で,腎損傷のほとんどの症例は非手術的治療(nonoperative management:NOM)で管理できる。
□外因性の外傷は原因が鈍的外力による鈍的外傷と,刺創・銃創などによる穿通性外傷にわけられる。わが国では腎・尿管損傷とも交通事故,転落などに起因する鈍的外傷が多い。
□腎損傷の診断の中心は造影CTによる画像診断であり,損傷所見から腎損傷分類(表)2)を行い,全身状態を加味して治療方針を検討する。
□外因性の尿管損傷はきわめて稀で,しばしば診断が遅れるが,断裂の場合は手術的治療を要する。
□腎損傷では肉眼的血尿あるいは顕微鏡的血尿が重要である。損傷程度が増すに従って肉眼的血尿の出現率も上昇する傾向があるが,必ずしも反映しない。
□尿管損傷を疑う特異的症状はなく,血尿は指標にならない。尿管損傷は急激な減速による交通事故で起こるので,受傷機転から疑うことが重要である。
□腎損傷では造影CTにより腎実質損傷と腎周囲血腫の程度,腎茎部血管損傷の有無,尿漏の有無を評価する。これにより腎損傷分類を行い治療方針の参考とする。尿漏は造影剤注入後15分程度経過した遅延相CTを撮影しないと診断がつかないことが多い。
□尿管損傷は造影CT遅延相,あるいは造影CT後の腹部単純写真による造影剤溢流の所見が有用だが,詳細な診断がつかないときは逆行性腎盂造影が有用なこともある。
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