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腎・尿路・性器結核

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-21
小川良雄 (昭和大学医学部医学部長・泌尿器科学講座主任教授)
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  • ■疾患メモ

    腎・尿路・性器結核は,結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による尿路(腎,尿管,膀胱)と男性生殖器(前立腺,精管,精巣上体,精巣)の感染による慢性肉芽腫性炎症である。

    肺に感染して肺結核となった結核菌が血行性に腎に感染し,数~数十年の潜伏期間を経て乾酪性壊死病変を形成し腎結核となる。その後,尿路に穿破した結核菌が尿路を下降し,膀胱などに病変を形成する。

    また,結核菌は尿路からの逆行性感染または肺結核から血行性に直接播種し,精巣上体や前立腺などにも病変を形成する。

    腎尿路性器結核は,近年比較的稀となったが,尿路上皮癌に対するBCG膀胱内注入療法後に,膀胱結核または性器結核がみられる場合があるため注意が必要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    腎結核はほとんど無症状であるが,稀に腎部痛をきたすことがある。

    結核性膀胱炎では頻尿,排尿痛など一般の膀胱炎と同様の症状を起こす。

    男性生殖器結核の多くは無症状であるが,前立腺結核では稀に頻尿,排尿痛,終末時血尿,会陰部不快感をきたす。精巣上体結核は数珠状結節として触れ,症状が進行すれば膿瘍が自壊することもある。

    精嚢結核は血清液症の原因となる。

    【検査所見】

    尿,膿や分泌物などの病巣由来検体での結核菌検査や,遺伝子増幅検査を行う。尿路・性器結核では特徴的な臨床症状はないが,無菌性膿尿や難治性膿尿を有する患者では鑑別診断の1つとして重要である。

    塗抹検査:尿あるいは前立腺液をZiehl-Neelsen染色法で鏡検する。数時間で判定できる。菌数が多くなければ陽性とならず感度が低い。生菌と死菌の区別ができない。

    培養検査:数週間を要する。分離培養ができれば抗結核薬の薬剤感受性検査にて薬剤耐性化の有無を確認することが可能となるため,ぜひ行うべきである。

    核酸増幅法検査1):数日で結果が判明する。非結核性抗酸菌感染症との区別も可能。生菌と死菌の区別ができない。

    画像診断:進行すると,単純X線検査で漆喰腎と言われる特徴的な腎の石灰化を認める(図1)。尿路造影検査や腹部CTでは腎髄質や腎乳頭の破壊,空洞形成や尿管の変形・狭窄を認める。

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