□間質性膀胱炎(interstitial cystitis:IC)は,膀胱の非特異的な慢性炎症を伴い,頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱痛などの症状により著しくQOLを低下される原因不明の疾患,と定義されており,ほかに上記の症状を呈する器質的な疾患を伴わないことが前提となる。
□2015年,ハンナ病変を伴う病型のうち重症に相当する症状を有するものが,指定難病として厚生労働省の指定を受けた。
□頻尿,尿意亢進,尿意切迫感,膀胱不快感,膀胱痛などの症状がある。
□膀胱内にハンナ病変または膀胱拡張術後の点状出血を認める。
□上記の症状や所見を説明できるほかの疾患や状態がない。
□除外診断:過活動膀胱,膀胱癌,細菌性膀胱炎,放射線性膀胱炎,結核性膀胱炎,薬剤性膀胱炎,膀胱結石,前立腺肥大症,前立腺癌,前立腺炎,尿道狭窄,尿道憩室,尿道炎,下部尿管結石,子宮内膜症,腟炎,神経性頻尿,多尿など。
□間質性膀胱炎または類似する症状を併存する頻度が比較的高い疾患:シェーグレン症候群などの自己免疫疾患,線維筋痛症,過敏性腸症候群,脊柱管狭窄症。
□日本間質性膀胱炎研究会による重症度基準を表1に示す。
□症状質問票による評価:ICに特化したO'Leary-Sant Symptom Index(OSSI)and Problem Index(OSPI)(表2)やVASが汎用される。
□排尿日誌による評価:頻尿は排尿日誌の記載による判定で行う。排尿した時間と1回排尿量を患者に記載させ,これを3日間行う。頻尿および1回排尿量の低下を認める。
□尿定性沈査:特異的所見はないが,無菌性膿尿を呈することも多い。
□尿細胞診:悪性所見(特に膀胱上皮内癌)を否定するために必須である。
□尿培養:尿路感染の除外に必須である。
□画像所見(腹部超音波検査,KUBなど):特異的所見はない。結石や腫瘍の除外に必須である。重症例では萎縮膀胱によるVURや水腎症も認められる。
□確定診断の手法としては,膀胱水圧拡張術が現時点で唯一の方法である。膀胱粘膜の観察と膀胱粘膜生検を一期的に行うことが可能。麻酔下での施行が望ましい。
□ハンナ型間質性膀胱炎:ハンナ病変を有するもの。
□非ハンナ型間質性膀胱炎:ハンナ病変はないが膀胱拡張術時の点状出血を有するもの。
□ハンナ型の患者のほうが高齢で症状も重症で,病理学的な炎症所見が強い。治療方法も異なるので,この二者の鑑別は重要である。
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