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性分化疾患

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-22
松井 太 (大阪母子医療センター泌尿器科副部長)
並木幹夫 (金沢大学大学院医学系研究科集学的治療分野泌尿器科学名誉教授)
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  • ■疾患メモ

    性分化疾患は,性腺,外性器および内性器の分化が非典型的である状態と定義される。過去にはインターセックスや半陰陽などの用語が用いられていたが,患者にとって蔑視的意味が潜むため,現在では性分化疾患として統一される。

    染色体からみた性分化疾患の分類を示す()。

    16_46_性分化疾患

    臨床的には男女が不明瞭な外性器異常を呈し,新生児期に気づかれることが多い。稀に,小児期や若年成人期に女児の鼠径ヘルニア,思春期の遅発,原発性無月経,女児の男性化や男児の乳房発育を契機として発見される。

    わが国では,ターナー症候群は出生女児2500人に1人,それ以外の性分化疾患は20歳未満の人口比で1万人に1.3人の頻度であると推定される。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    以下のような身体所見の場合,性分化疾患を疑う。①性腺を触知するか:停留精巣など,②陰茎あるいは陰核の状態:矮小陰茎あるいは陰核肥大か,③尿道口の開口部位:尿道下裂あるいは陰唇癒合がないか,開口部位が通常の位置と異ならないか,④陰嚢あるいは陰唇の状態:陰嚢低形成あるいは大陰唇の男性化(肥大し皺が寄る)がないか,⑤腟の状態:腟盲端や泌尿生殖洞(尿道口と腟口が共通である)はないか,⑥外陰部,口唇,乳頭部,腋窩に色素沈着はないか。

    【検査所見】

    家族歴の聴取は非常に有用である。妊娠中の母体の男性化や同胞の病歴(停留精巣や鼠径ヘルニアなど),ホルモン製剤使用歴,テストステロン分泌に関わる羊水過少や胎盤低形成の有無を確認する。

    早期に行うべき検査:血液検査(電解質,コレステロール,血糖値,テストステロン,エストラジオール,抗Müller管ホルモン,LH,FSH,17-ヒドロキシプロゲステロン,コルチゾール,ACTH,血漿レニン活性,血漿アルドステロン濃度),尿検査(蛋白,尿中ステロイド分画),染色体検査(SRY,G-banding),性腺,内性器の検査(超音波検査,MRI)。

    必要時に行う検査:LH-RH負荷試験,hCG負荷試験(テストステロン/ジヒドロテストステロン比),hMG負荷試験,ACTH負荷試験,遺伝子検査,尿道膀胱鏡・腟内視鏡検査,腹腔鏡検査,性腺生検。

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