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副鼻腔真菌症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
柳 清 (聖路加国際病院耳鼻咽喉科部長)
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  • ■疾患メモ

    副鼻腔真菌症は,副鼻腔内に真菌塊(fungus ball)を形成する予後良好な疾患である(寄生型副鼻腔真菌症)。しかしごく稀に,真菌が副鼻腔内から急激に眼窩や頭蓋へと進展する予後不良なタイプがある(破壊型副鼻腔真菌症)。また,真菌が病原菌ではなく抗原として働くアレルギー性真菌性副鼻腔炎(allergic fungal sinusitis:AFS)という疾患概念が近年確立された。これらの病態の違いは,宿主の免疫状態と真菌の役割にあると考えられている。

    Ⅰ.寄生型副鼻腔真菌症

    好発年齢は40~50歳代,女性が男性の2倍である。片側性がほとんどで左右差はない。罹患洞は2/3が上顎洞で,次に篩骨洞,蝶形骨洞と続き,前頭洞はほとんどない。

    真菌は組織浸潤することなく,寄生菌として副鼻腔内にとどまり真菌塊を形成する。

    起炎菌はアスペルギルス,ムコール,カンジダの順である。患者の免疫能は正常である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    鼻閉,頬部痛,後鼻漏,鼻出血,鼻汁過多,悪臭鼻漏,頭痛,歯痛,頬部腫脹,眼球突出・視力障害(後部篩骨洞や蝶形骨洞に発症した場合)が出現する。しかし,時には無症状で経過することもある。

    【検査所見】

    真菌塊のCT所見の特徴は石灰化像を呈し,上顎洞真菌症においては自然口付近に集積し,患側洞の骨硬化像が認められる(図1)。MRI所見ではT1・T2強調画像ともに辺縁明瞭で低輝度を示し,黒く抜ける無信号領域が点在する。確定診断は鼻腔や上顎洞洗浄で採取した検体の病理組織検査で真菌を確認する。

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