□耳下腺腫瘍は,唾液腺腫瘍の中で最も頻度が高く80%以上を占める。大唾液腺腫瘍では,ついで顎下腺,舌下腺腫瘍の順に多い。
□耳下腺腫瘍は病理組織像が多彩であること,表情筋を支配する顔面神経が耳下腺内を走行することから,良性か悪性かを問わず神経の処理を慎重に行う必要がある。
□視診上耳下腺部に腫瘤性病変として認められる。また,洗顔の際など触診で気づかれることが多い。
□一般に,良性腫瘍は初診時や経過観察中にも疼痛や顔面神経麻痺を認めることは稀である。これらの症状が顕著な場合や急速に増大する場合は,まず悪性腫瘍を疑う必要がある。
□一側性がほとんどであるが,良性腫瘍であるワルチン腫瘍はしばしば両側性に,また多発性に発生する1)。
□最も頻度が高い腫瘍は良性の多形腺腫であるが,易再発性であり,長い経過の中で7~8%は癌化するとされている(多形腺腫由来癌)。
□術前検査として,画像検査は超音波,MRI,CT,Tcシンチグラム,PETなどが行われる。特に,MRIと超音波検査が有用である。
□Tcシンチグラム陽性腫瘍の多くはワルチン腫瘍(図)であり,ついでオンコサイトーマとなる1)。FNAC(fine needle aspiration cytology)や術中迅速病理検査は治療上有益な情報となるが,Tcシンチグラムは施設によっては施行困難な場合がある。
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