□口腔乾燥症とは,一般に口腔粘膜の乾燥や保湿度の低下をきたしている病態を言うが,臨床では唾液の分泌量低下に伴い口腔に現れる症状全般を総称して用いることが多い。
□口腔乾燥症はシェーグレン型と非シェーグレン型があり,その対応は異なるので鑑別診断が重要である。
□発症ならびに症状の変化には全身状態,生活習慣,加齢変化,薬剤の副作用,心理社会的因子などの因子が関与しているため,症状発現の背景を理解しておくことが重要である。特に高齢者では加齢変化に加えて,薬剤性の原因が多い。
□口腔乾燥症に継発して舌痛,味覚異常,口臭の発現や歯周病やう蝕が進行することも多いので,それらに対する予防や対応も必要になる。
□自覚症状として口腔内の乾燥感,ねばつき,接触痛などがある。乾燥が進むと舌背部や舌縁部に疼痛を伴うことがある。
□乾燥が強い場合は舌乳頭の萎縮による舌背部の平滑化,舌苔の肥厚,頬粘膜などのかさつきや角化層の亀裂,歯科用ミラーが粘膜面に貼り付くなどの所見が認められる。軽度の場合は口蓋と舌背部を中心に乾燥を認める。
□唾液の分泌量が低下している場合は,口腔乾燥による舌痛や味覚異常,自浄性の低下による歯周病や齲蝕の進行を認めることがある。
□シェーグレン症候群の場合は,口腔乾燥のほかに眼の乾燥や腟粘膜の乾燥などを認める。
□唾液分泌量検査で分泌量の低下を認める(ガムテストで10mL/10分以下,サクソンテストで2g/2分以下を陽性とする)。
□シェーグレン症候群の場合,唾液分泌量検査で分泌量の低下に加えて,① Schirmer testで涙液の分泌量の低下(5mm/5分以下で陽性),②免疫血清検査で抗S-SA/Ro抗体,抗S-SB/La抗体が陽性,③口唇腺の生検で導管周囲へのリンパ球の異常浸潤(4mm2 1focusの導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤がある)の①~③のうち1つ以上が該当すればシェーグレン症候群と診断する。
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