□炎症が歯肉に限局した歯肉炎から進展し,他の歯周組織(セメント質,歯槽骨,歯根膜)まで波及したものが歯周炎である。慢性歯周炎は,主に成人に認められる最も一般的な歯周炎である。
□歯肉縁下のデンタルプラーク(バイオフィルム)中の歯周病原細菌による感染とそれに対する宿主の免疫応答により歯周組織の破壊に至る。リスクファクターとしては,細菌因子に加えて環境・宿主因子が挙げられ,多因子性疾患としてとらえられる。糖尿病,心臓血管系疾患,早期低体重児出産,誤嚥性肺炎,肥満,骨粗鬆症,自己免疫疾患などの全身疾患・状態との関係が研究されている。
□歯肉炎では歯肉の発赤,腫脹,出血がみられる。進行して歯周炎になると歯周ポケットの形成,付着の喪失(アタッチメントロス),歯槽骨の吸収(図)もみられる。歯肉の退縮や増殖を認めることもある。
□歯周組織検査所見として,4mm以上の歯周ポケットの形成,歯肉からの出血,進行すると歯の動揺がみられる。細菌学的所見として,Porphyromonas gingivalis,Tannerella forsythia,Treponema denticolaなどのグラム陰性嫌気性菌が検出されることが多いが,症例により大きく異なる。
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