□埋伏歯とは,歯冠の一部,またはすべてが顎骨内や歯肉に埋伏し,未萌出の歯牙のことをいう。部位的には上下智歯(図a・b),犬歯(図e),第二小臼歯(図c)の順に多く,上顎正中(図d)に過剰歯が埋伏していることもある。歯列不正や萌出歯数不足などでX線撮影し,発見されることが多い1)。
□埋伏歯の生じる原因は,乳歯の晩期残存,萌出スペースの不足,顎骨嚢胞,顎骨腫瘍などの局所的要因によるものが多いが,くる病,Gardner症候群,骨形成不全症候群,鎖骨頭蓋異形成症,甲状腺機能低下症などの全身的要因に随伴して認められる場合もある。
□完全に埋伏している歯牙の場合,自覚症状はほとんどないが,嚢胞や腫瘍を伴うような埋伏歯の場合,その増大に伴い,口腔内に腫脹,波動を触知することもある。また,一部萌出しているような半埋伏歯の場合,周囲歯肉に炎症症状を引き起こし,疼痛,腫脹を生じることが多い。
□口腔内所見:視診,触診にて歯肉,骨の膨隆,腫脹,圧痛などを確認する。
□X線所見:パノラマX線撮影,歯科用デンタル撮影にて埋伏している部位,隣在歯との位置関係などを確認し,解剖学的に重要な神経,鼻腔,上顎洞などに近接していないか確認する。
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