編著: | 鋪野紀好(千葉大学医学部附属病院総合診療科) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 156頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2021年08月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6675-2 |
付録: | 無料の電子版(HTML版)が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
◆第5のバイタルサインともされる「痛み」。患者の訴えや身体所見から「その場でできること」を見つけ出し、ジェネラリストとして適切に対処するためのスキルとノウハウを1冊にまとめました。
◆部位別の各項目では、「よくある訴え」のSQへの置き換え、SQから絞り込む鑑別疾患、解剖学的アプローチ、関連痛・心因性疼痛の検討など多面的に解説。診断への最適・最短ルートを示しています。治療についても、臨床で活かせる幅広い知識を各分野のエキスパートが存分に解説しました。
◆総合診療医やプライマリケア医の先生をはじめ、「痛み」を訴える患者の診療に携わるすべての医師におすすめします!
本書は、Webコンテンツ(PDF版+HTML版)としても別途ご購入いただけます
巻頭言
プライマリ・ケア領域において,痛みを訴える患者への対応がしばしば求められます。痛みといっても,急性の経過から慢性の経過まで,また胸部や腹部など限局した部位から全身まで様々なパターンがあり,臨床医を悩ませることは多いです。
痛みの原因にせまる診断アプローチもいろいろな方略がありますが,本誌では,痛みを部位別に切りわけ,診断推論を行うアプローチを採用しています。さらにそこから,よくある患者の訴えのsemantic qualifier(SQ)への置き換え,臨床経過による切りわけ,病態からせまるVINDICATEを用いた鑑別,痛みの種類による切りわけなど,診断推論の方略を系統立てて学べる構成に仕上げているのが,本誌の最大の特徴であり,これまでの類書にない切り口となっています。本誌にある分析的なアプローチを身につけることは,疾患仮説を想起するための方略として活用できるだけでなく,昨今トピックとなっている診断エラーを回避するための糸口になると考えます。
また,部位別の診断推論のアプローチに加え,応用編としてケースをもとにした診察手順の例を加えています。部位別のアプローチで学んだことを,こちらの応用編に照らし合わせながら学べる構成となっています。さらに本誌では,痛みに使える治療法各論として,薬物療法,インターベンショナル治療,心理的アプローチ,理学療法についても触れています。いずれも,プライマリ・ケア領域で大いに役立つ内容になっています。
痛みを訴える患者の原因にせまり,その解決に結びつけるためのアプローチ,さらにはそこからの治療に至るまで,本誌がプライマリ・ケアの現場での診療に役立つことがあれば幸いです。
最後に,本誌の企画趣旨に賛同頂き,執筆に携わって頂いた先生方,ならびに本誌の編集にご尽力頂いた日本医事新報社の皆様に深く御礼申し上げます。
2021年8月
千葉大学医学部附属病院総合診療科 鋪野紀好