監修: | 稲波弘彦(医療法人財団 岩井医療財団 理事長/稲波脊椎・関節病院 院長) |
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編集: | 古閑比佐志(医療法人財団 岩井医療財団 岩井整形外科内科病院 副院長) |
判型: | A4判 |
頁数: | 216頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2018年11月26日 |
ISBN: | 978-4-7849-5644-9 |
版数: | 第1版 |
付録: | 電子版閲覧用シリアルナンバー(巻末綴じ込み) |
1章:円筒形レトラクターを用いた脊椎内視鏡手術
1.内視鏡手術のlearning curve
2.内視鏡下のノミの有効な使用法
3.正中進入による頚椎内視鏡下椎弓切除術
4.胸椎黄色靱帯骨化症に対する内視鏡手術
5.MEDによる硬膜損傷の原因となる手術操作
6.椎間板性腰痛の診断と治療
7.内視鏡支援脊椎手術
①円筒形レトラクターでの腰椎椎体間固定術操作
②脊椎内視鏡支援ACDF
③XLIF手術
8.術後脊椎硬膜外血腫を回避する工夫
9.神経生理学モニタリングの重要性
10.椎間関節を温存する工夫
11.L5/S1椎間孔外病変の解剖学的所見と内視鏡手術
2章:PELDシステムを用いた脊椎内視鏡手術
1.PELDの適応
2.PELD transforaminal法
3.PELDによる硬膜損傷の原因となる手術操作
4.PELD用の脊椎内視鏡システムを用いた腰椎囊胞性疾患の治療
5.PELDによるcervical foraminotomy
6.PELDにおけるドリル操作
3章:脊椎内視鏡手術の将来
1.ビッグデータを手術手技向上に生かすには
2.脊椎内視鏡手術の今後
3.future perspective
4章:トラブルシューティング
1.はじめに
2.固定術でのトラブルシューティング隣接椎間障害
3.脊椎固定術後の椎体骨折
4.腰椎の内視鏡下椎間板切除術(MED)および内視鏡下椎弓切除術(MEL)のトラブルシューティング
5.硬膜損傷で多量の馬尾が逸脱してきた場合
6.内視鏡下後方経路腰椎椎体間固定術(ME-PLIF)後の手術部位感染(SSI)
7.頚椎前方手術後の合併症である呼吸障害の回避法と発生時の対策
8.診断の陥穽
9.PELDにおけるトラブルシューティング
当財団で低侵襲脊椎外科手術を始めたのは2001年12月27日,2例の腰椎椎間板ヘルニアが最初です。その後2002年7月にMEL,2008年11月にME-PLIF,2009年6月にPELD,2009年7月に頸椎のMECD, 同じく11月にMECL,2013年に鏡視下XLIF,2016年に鏡視下OLIFを始めました。2018年3月末までの手術件数は,MED:6,422件,MEL:3,341件,ME-PLIF/ME-TLIF:1,978件,XLIF:320件を含め, 脊椎の内視鏡手術は14,212件となりました。そして,海外を含め様々な大学,病院から見学・研修に来られる医師が増え, 短時間でそれらの先生方に我々の治療を提示することが困難になってきたため,我々の治療方法をまとめられればよいと感じておりました。そのようなとき,日本医事新報社からのお話があり,この書籍が実現しました。執筆は当財団で研修して頂いた若手の先生方を中心にお願いしました。
一方で,私どもは診断をより正確に行えるように,また,より低侵襲で患者さんの主訴を解消できるように日々努力しております。ですからこの手術書は我々の一里塚であると位置づけています。また,内容にも誤りがあろうと考えます。よって,上梓後の様々な修正はweb上で行っていきたいと考えています。
医療は準委任契約と言われています。患者さんは治してほしい症状を訴え,医療者はそれを解消する努力をします。何が患者さんの主訴を起こしているのかを正確かつ精密に診断することが,低侵襲脊椎外科の基本であります。主訴を起こしている原因をピンポイントで診断し,その部位をピンポイントで治療することが低侵襲脊椎外科そのものであり,不要な手術や固定術,必要性の低い多椎間固定を避けることができます。
「診断は自然への挑戦である。」と聞いたことがあります。まさに診断は挑戦であり,手術はその診断を証明する手段であると考えています。この手術書が皆様のお役に立てることを心から願っております。
この場を借りて,私に脊椎外科を教えて下さった,故 山崎典郎,川端正也,立花新太郎,増田彰夫,夏山元伸の各先生,手術の基本を教えて下さった奥津一郎先生,様々な手術器具やドレッシング方法の工夫を行ってくれた手術室の大友勝利看護師長,この著書の編集を中心になってやって下さった古閑比佐志先生,日本医事新報社 磯辺栄吉郎氏に深く御礼申し上げます。
2018年10月
医療法人財団 岩井医療財団 理事長
稲波弘彦