編: | 具 芳明(国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター情報・教育支援室長) |
---|---|
判型: | B5判 |
頁数: | 246頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2020年02月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-2938-2 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
第1章 症候で切った感染症診療のコツ
1 発熱
2 頭痛
3 リンパ節腫脹
4 「かぜ」の診かた
5 咽頭痛
6 咳
7 腹痛
8 下痢・嘔気・嘔吐
9 皮膚の発赤・腫脹
10 急性の関節痛・関節炎
11 せん妄・意識障害
第2章 感染症外来診療で絶対知っておきたいマスト16の知識
1 外傷と抗菌薬
2 小児の鼻副鼻腔炎、中耳炎─未来に抗菌薬を残すために
3 気管支炎,肺炎
4 インフルエンザ
5 Red eye─眼の充血の鑑別
6 膀胱炎,前立腺炎,腎盂腎炎
7 内科診療の現場で遭遇する性感染症
8 外来で出合う輸入感染症
9 高齢者と感染症
10 大人のワクチン
11 外来での微生物学的検査
12 外来感染対策
13 高齢者施設と感染症
14 抗菌薬をほしがる患者への対処法
15 外来抗菌薬事情
16 漢方による感染症治療
感染症診療 役立ちコラム
その1 外傷のマネージメント─抗菌薬と破傷風予防対策
その2 外来で感染症を診るために何が必要か
その3 感染症の情報をどこで入手するか
その4 成人のパルボウイルス感染症 “そのむくみ,感染症です!”
その5 眼科緊急度の高い疾患
その6 急性レトロウイルス症候群
その7 性感染症を鑑別に挙げるべき生殖器以外の症状・所見
その8 高齢者のサイレントシリーズ
その9 高齢者感染症治療に使える虎の巻
その10 ワクチンの概略
その11 渡航先と推奨されるワクチン
その12 外来診療で有用な迅速検査
その13 外注検査を使うコツ
今,外来での感染症診療が注目されています。薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが2016年に発表されて以来,抗菌薬適正使用の重要性がいっそう強調されています。抗菌薬適正使用は,薬剤耐性菌が広がるのを防ぐ感染予防策とともに,AMR対策の基本として重要だからです。
中でも外来における抗菌薬の使い方は特に注目されている分野のひとつです。日本国内で使用されている抗菌薬のうち,ざっと見積もって8割は外来で使用される経口抗菌薬です。したがって,それをより適切に使用することはAMR対策に直結するのです。
抗菌薬を適切に使うには,感染症を適切に診断する必要があります。外来診療の難しさは,限られた時間のうちに病歴と身体所見,そして最小限の検査結果から診断し判断していくところにあります。その難しさからか,感染症を疑えば,診断はともかくとりあえず抗菌薬を処方するというプラクティスが少なからず行われてきました。
しかし,外来での抗菌薬適正使用が叫ばれる現代において,そのような姿勢はもはや時代遅れです。考えてみれば,限られた状況で情報を収集し診断と方針決定につなげていくのは,きわめて知的で創造的な作業であり,外来診療の醍醐味でもあります。
本書は,外来における感染症診療の考え方やコツを皆様にお伝えすることを目的に作りました。この本の原型は,2010年に日本医事新報社から発行されたjmedmook『見逃したらコワイ 外来で診る感染症』です。外来感染症診療に特化した書籍は数少なく,貴重な存在として好評を頂きました。外来での感染症診療が注目されている今,信頼する先生方とともにこのムックを改訂し,パワーアップしたのが本書です。この書籍は,外来感染症診療を見通し良く進めるための強い味方になるはずです。外来感染症診療の醍醐味を,ぜひ味わって頂きたいと願っています。
最後に,本書の作成に関わった皆様に心から感謝いたします。中でも企画段階から私たちを引っ張ってくれた日本医事新報社の皆様,ムックでともに編集を担当し今回もアドバイスを頂いた大曲貴夫先生,岸田直樹先生,そして,お忙しい中執筆を引き受けて下さった先生方に,心からの感謝を申し上げます。