◆Vol.5 診療所での就業規則の必要性 職員6名の内科診療所です。先日、新人職員が入所して就業規則がない事を疑問に思うとの指摘がありました。職員7名の前職場では、就業規則を渡されたとのことでした。内部に労働条件等でのトラブルは起きておりません。いい機会なので他の職員に確認したところ、特に必要とは感じないとの意見が大半でした。 |
職員が常時10人以上でなければ、法律上は就業規則の作成・届出義務はありません。 |
ただし、今後をお考えであれば良い機会です。
リスク管理やトラブル防止のために何らかの形式で規則作成をお薦めします。
この数年メンタルヘルス系の雇用問題対策として、平成27年12月1日施行の職場のストレスチェック制度導入もあり、労働環境整備や労働条件についての規範作りは、雇用主にとって重要な課題と思われます。特に休職規定や解雇に関しては、メンタルヘルス系の休職者が増加している近年では、雇用主として早急に整備すべき規定と思われます。
現状では、ストレスチェック制度については労働者数50人未満の事業場は努力義務ではありますが、働く職員の意識も数年前とは大きく変化しています。その変化に対応する姿勢が求められていることは規模の大小とは別の問題となっていますので、その点を念頭に検討をお勧めします。
就業規則を作成するのはハードルが高いとお考えの場合、職員10人未満の場合は就業規則に準ずるものとして「服務規程」「就業のさだめ」などを職員に周知しておくことでも、就業規則と同等の取り扱いとなりますので作成をお勧めします。
上記いずれの作成にあたっても一般的な就業規則見本がございますが、診療所の実情に即しているとはいえない部分が多々あります。丸ごと流用し、署名といった作成方法は、後々のトラブルの元となります。必ず自院の現状に即したものを作成しましょう。
特に服務規定に関しては、就業規則の中にその項目を設ける事も多く、職員が安心して働くことができる、秩序のある職場環境の形成には大変重要な役割を果たしますので、なるべく具体的に可能な限り細かい部分まで規定することをお勧めします。
作成時に注意いただきたいことを簡単に列記しますが、ご心配な方は社会保険労務士・経営コンサルタントなどにご相談ください。また、この種のセミナーも各種開催されていますので、参加なさることも一案です。
●就業規則作成の注意点 1.自院の常時雇用する労働者の範囲を確認しましょう。 就業規則は、常時雇用する労働者の数が10人以上になると作成義務が生じ、労働基準監督署に届け出なくいてはいけません。常時雇用する労働者とは、パート職員も含みますのでこの点は注意が必要です。あなたの診療所の職員数をもう一度確認してみましょう。 2.労働基準法に即した労働条件を作成しましょう。 自院の現状に即すといっても、労働基準法が適用されます。 3.規定に必要な記載事項の中で、労働者10人未満の医院の場合下記の項目は、注意が必要です。 勤務時間 休日 年次有給休暇 休憩時間の取り扱い 規則の配布 |
以上、簡単にご案内しましたが職員10人未満の診療所の場合、最優先されるべきことは、やはり相互の信頼関係ではないでしょうか。
院長と職員がお互いに納得できる、生きた規範作りが大切と考えます。
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