【質問者】
国松志保 東北大学医学部眼科講師
ぶどう膜炎の診断は成人でも基幹病院の統計において約30%の割合で分類不能になることがあり,現在様々な手法を用いて診断できるように試行錯誤しています。その中で小児ぶどう膜炎は,患者の主訴が少なく,充血などの変化で親が気づいたり,偶然発見されることが多く原因が不明なことが多いです。
小児ぶどう膜炎の診断で最も大事なものが,全身疾患との関連です。全身疾患と関連するものとしては,若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)や若年性サルコイドーシス(Blau症候群を含む),腎炎に関連したTINU症候群,ベーチェット病があります。眼科に特有な疾患としてはVogt-小柳-原田病がありますが,それぞれ大人と異なり,早期に発見されるのは眼炎症発作のために黄斑部が急速に障害され,著明な視力低下をきたすベーチェット病くらいであり,多くの小児ぶどう膜炎は進行した状態(慢性化した状態)で発見されます。
小児ぶどう膜炎の診療においてよくみられる所見は,帯状角膜変性と虹彩後癒着です。帯状角膜変性は角膜の上皮下(ボーマン膜)にカルシウムが沈着する疾患です。病変部位は角膜の3時,9時方面の周辺部から始まり,中央部にかけてベルトのように帯状に存在し,慢性化したぶどう膜炎において発症することが多くあります。血中カルシウム濃度が高値である腎機能障害患者や副甲状腺機能亢進症の病態でも起こりやすいため,帯状角膜変性が認められた場合,ぶどう膜炎の精査も必要ですが,小児科と連携し,ぶどう膜炎を発症する疾患以外の病態がないかどうかも確認する必要があります。
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